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M&A / 事業承継 M&A / Business Succession

中小企業・小規模事業者の後継者問題

経営者の高齢化や後継者難を背景に、中小企業・小規模事業者の経営者は、いずれ経営者自身の引退と次世代へ会社を承継する場面に直面します。
中小企業・小規模事業者の中には、経営者の親族や役員・従業員に事業承継される経営者もいれば、第三者に事業を譲渡・売却・統合(M&A)される経営者もいます。その一方で、事業の継続性・成長性に問題はないものの、廃業を余儀なく選択せざるを得ない経営者も見受けられ、その数は増加傾向にあります。

後継者問題

中小企業・小規模事業者の実態調査

経営者の平均年齢について

社長の平均年齢

帝国データバンクの「全国社長年齢分析(2021年)」によると、2021年 1月時点の全国約 94万社を対象とした経営者の平均年齢は 60.1歳(前年比+0.2 歳)と、調査を開始した1990年から約30年間で、平均年齢 54歳から右から上がりで約 6歳上昇しており、過去最高を更新しました。年代別の割合をみると、「60代」が構成比 27.3%で最多となり、「50代」が同 26.9%、「70代」が同 20.3%と続きます。また、上場企業社長の平均年齢は 58.7歳(前年比±0.0 歳)、年代別では「60代」が構成比 43.3%を占め最多となりました。
社長の平均年齢を業種別にみると、「不動産業」が 62.2 歳で最も高く、「製造」(61.3 歳)、「卸売業」(61.0 歳)、「小売業」(60.2 歳)であり、全体の平均年齢を上回りました。また、「製造業」「卸売業」「小売業」では「60代」が最多、「不動産業」では「70代」が最多となりました。

実態調査

後継者不在状況について

後継者不在率

帝国データバンクの「全国企業後継者不在率動向調査(2021年)」、後継者の決定状況と事業承継動向(2019.10から2021.10までの 3 年間)の調査結果によると、約26万6000社(全国・全業種)の後継者不在状況は、後継者が「いない」、または「未定」とした企業が約16万社となりました。この結果、全国の後継者不在率は61.5%となり、2020年の不在率65.1%から3.6ptの改善、4年連続で不在率が低下し、調査を開始した2011年以降で最低となりました。

後継者不在率

事業環境の急激な変化により、代表者の高齢化問題が深刻化しており、柔軟な発想や対応力がある若い世代、生え抜きの役員等の後任に将来を任せたいなど、後継者問題に対する経営者の心境変化も影響しており、高齢代表の企業を中心に後継者決定の動きが強まっています。
地域金融機関を中心にプッシュ型のアプローチが徐々に成果を発揮し始めていること、第三者へのM&Aや事業譲渡、ファンドを経由した経営再建併用の事業承継等の支援メニューが全国的に整ったことも、後継者問題解決・改善の前進に大きく寄与したものと判断されます。
一方、昨年まで後継者がいたにも関わらず、2021年に「後継者不在となった」「計画の中止・取りやめ」が全体の0.4%(約1,000社)発生しました。「後継者候補だった役員が退任し、事業承継計画自体が白紙に戻った」「外部から人材を迎えたものの、後継者候補がなかなか見定まらない」ケースも散見され、足元では事業承継に課題を抱える企業が一定数存在している状況も窺えます。

経営者年代別 後継者不在率

事業承継の検討期に入る 50 代では 7 割程度、60代では約半数、70代では約 4 割、80代では約 3 割で後継者が不在となっており、経営者が高齢になっても、後継者が不在になっている企業が多く存在することが分かっています。

経営者年代別 後継者不在率

後継者難を理由とする廃業

日本政策金融公庫によると、60歳以上の経営者のうち、50%超が将来的な廃業を予定しており、このうち「後継者難」を理由とする廃業が、全体の約 3 割に迫ることを報告しています。
帝国データバンクの「事業承継に関する企業の意識調査(2020年)」の調査結果によると、事業承継への考え方について、「経営上の問題のひとつと認識している」と回答した企業が 55.2%で最も高く、「最優先の経営上の問題と認識している」と回答した企業は11.8%となり、合計すると 67.0%の企業が事業承継を経営上の問題と認識していました。さらに、事業承継を進めるための計画の有無についての調査によると、「計画があり、進めている」と回答した企業は18.7%、「計画はあるが、まだ進めていない」と回答した企業は 21.1%となり、合計すると 39.8%の企業が事業承継の計画があるものの、その半分以上の企業が進められていないことがわかりました。

後継者難を理由とする廃業

事業承継に関する計画の有無を経営上の問題認識別にみると、事業承継を「最優先の経営上の問題と認識している」企業のうち、73.5%の企業が事業承継の計画があり、そのうちの46.0%の企業が事業承継の計画を進めており、他の割合(計画を進めていない、計画はない等)を大きく上回りました。一方、事業承継を「経営上の問題のひとつと認識している」企業のうち、50.2%の企業が事業承継の計画があり、そのうちの20.4%の企業が事業承継の計画を進めていました。これらのことから、事業承継を最優先の問題と認識しているかが、事業承継計画に大きく影響していることが明らかとなりました。
今後 5 年以内における自社のM&Aへの関わり方についての調査によると、「買い手となる可能性がある」と回答した企業は 21.6%、「売り手となる可能性がある」と回答した企業は 10.5%、「買い手・売り手両者の可能性がある」と回答した企業は 5.1%となり、合計すると37.2%の企業が、事業承継を行う手段としてM&Aに関わる可能性があると考えており、事業承継を行う手段として、M&Aが注目されていることが窺えます。

後継者の決定状況

後継者の決定状況割合

日本政策金融公庫総合研究所の「中小企業の事業承継に関するインターネット調査結果(2019年調査)」によると、中小企業の事業承継の見通しは、後継者が決まっており後継者本人も承諾している「決定企業」は12.5%に留まり、後継者が決まっていない「未定企業」が22.0%、「廃業予定企業」が52.6%、「時期尚早企業」が12.9%となっています。

後継者の決定状況
後継者規模別の廃業予定企業

従業者規模別の「廃業予定企業」は「1~4人」では66.9%を占めているものの、「5~9人」では34.9%、「10~19人」では17.6%と、規模が大きくなるほど割合が低下していることが分かりました。

後継者規模別の廃業予定企業

廃業理由と事業譲渡の検討

廃業理由(廃業予定企業)

日本政策金融公庫総合研究所の「中小企業の事業承継に関するインターネット調査結果(2019年調査)」によると、「廃業予定企業」に廃業理由について尋ねたところ、「そもそも誰かに継いでもらいたいと思っていない」が43.2%と最も高い割合となっています。一方、「子どもがいない」「子どもに継ぐ意思がない」「適当な後継者が見つからない」を合わせた後継者難による廃業は、29.0%と高水準となっています。

廃業理由と事業譲渡の検討
後継者の決定状況割合

日本政策金融公庫総合研究所の「引退廃業者の実態(経営者の引退と廃業に関するアンケート結果」によると、経営者の引退・廃業時における事業譲渡の検討の有無をみると、「検討しなかった」が91.2%となっており、事業譲渡の検討を行うことなく、引退廃業していることを調査しています。

後継者の決定状況割合

事業承継の問題認識と計画

帝国データバンクが 2020年 8 月に実施した調査では、調査対象 1 万2,000社のうち約 7 割が「事業承継」を経営上の問題と認識しており、 約 4 割で事業承継の計画があることを報告しています。

事業承継の問題認識と計画

日本経済の基盤を脅かす後継者問題

中小企業庁の「中小企業・小規模事業者におけるM&Aの現状と課題」によると、中小企業・小規模事業者の廃業が急増しており、現状を放置すれば2025年までの累計で約650万人の雇用と、約22兆円のGDPが失われる可能性があることを指摘しています。この状況による地域経済の衰退や雇用喪失への影響は甚大であることから、後継者問題は喫緊の課題として、国や県、地域金融機関などが中心となってプッシュ型の事業承継支援を積極的に推し進めています。
さらに、中小企業庁が 2017 年 7 月に事業承継支援を集中的に実施する「事業承継 5 ヶ年計画」の策定により、中小企業の経営資源の引継ぎを後押しする目的で開始した「事業承継補助金」の運用など、円滑な事業承継に向けた積極的な支援が進んでいます。

日本経済の基盤を脅かす後継者問題

事業承継とM&A

事業承継の類型として、親族内承継、役員・従業員承継、社外への承継(M&A)が挙げられます。また、事業承継においては、後継者教育などを進めながら経営権を引き継ぐ「人(経営)」の承継、自社株式・事業用資産、債権や債務など「資産」の承継、経営理念や取引先との人脈、技術・技能といった「知的資産」の承継を、計画的に着実に進める必要があります。
「事業承継」では後継候補の選定から育成、実際の就任までは中長期的かつ計画的な準備が必要となるため、経営余力のない中小企業・小規模事業者ほど、事業承継に対して経営資源を割きにくいのが実情です。そのため後継者への引き継ぎの準備が間に合わず、意図しない形で経営継続を断念するケースも見受けられます。
一方、企業価値を認めた第三者に経営を委ねる「M&A方式の事業承継」は事業価値に着目する事業性評価が承継先企業へ求められるものの、消費者ニーズの変化や競合の出現など、事業環境の変化が激しい中において、後継者問題を解決に導く有効な経営戦略として注目されています。

事業承継とM&A

企業価値の算定

「事業承継」により相続する場合の企業評価は、国税庁が使用している評価方式「財産評価基本通達」を適用することで一定の評価額を算出することが可能となり、算定方法によって企業価値が上下するという心配はありません。
一方、M&Aにおいては、株式会社の場合は、株式譲渡といった手法で行われることが一般的ですが、事業の一部を引き継ぐ場合や個人事業者の場合は、事業譲渡で行われることが一般的で、合併や会社分割等の手法が取られることもあります。
① 会社の株式を他の会社に譲渡する方法(子会社化)
② 株式を他の個人に譲渡する方法
③ 会社の事業の全部又は一部を他の会社に譲渡する方法
④ 個人事業者の事業の全部又は一部を他の会社や個人事業者に譲渡する方法

企業価値の算定

M&Aにおける企業価値評価を計算する際は、以下のいずれかの手法を用いることになります。

  • アセット(コスト)・アプローチ

    企業の純資産の時価評価額を基準として企業価値を計算する方法で、貸借対照表の価額を基準とする「簿価純資産法」や、時価評価を行った資産と負債の差額である「時価純資産法」、「時価純資産法」に営業権(のれん)を考慮した方法があります。

  • マーケット・アプローチ

    上場としている類似企業を比較対象として企業価値を計算する方法で、「市場株価法」「類似会社比較法」があります。

  • インカム・アプローチ

    将来的な収益価値を基準として企業価値を計算する方法で、「収益還元法」「DCF法」があります。

中小企業や個人事業主の企業価値算定(バリュエーション)は、新株発行や株式売買が頻繁に行われないこと、将来的な収益予測は困難であることより、マーケット・アプローチやインカム・アプローチによる評価方法は説得力に欠けるするため、貸借対照表の純資産額を基礎とするアセット(コスト)・アプローチが選好されやすいものと推察されます。
M&Aで企業買収を行う際の企業価値評価は、対象企業についての定量的な価値(企業価値)を算定・評価するため、会社が保有する資産に基づいた評価額だけではなく、今後期待される収益や利益の見通し、いわゆる「のれん評価額」を算出する必要が出てきます。

企業価値と不動産鑑定評価

企業価値と不動産鑑定評価

企業価値をアセット(コスト)・アプローチ(時価純資産法、時価純資産法に営業権を考慮した方法)で計算する場合には、帳簿上の資産・負債を時価に評価替えして、実体純資産を把握しますが、ここで算出される含み損益はM&Aにおける買収価格に影響を及ぼすのみならず、M&Aに伴う課税にも影響します。

M&Aにおいては、「企業結合に係る会計基準」により、被取得企業又は取得した事業の取得原価は、原則として、取得の対価(支払対価)となる財(不動産)の企業結合日における時価で算定することを求められます。また、事業承継の構成要素である「資産」の中でも、不動産の時価が、企業価値評価に大きく影響を及ぼす場合があります。したがって、M&Aにおいて適切な企業価値を把握するためには、不動産鑑定評価の活用は非常に有効な手段になります。

特に、取得してから相当期間経過した不動産については、その取得後の経済情勢の変動その他種々の理由により、貸借対照表上の簿価と適正な評価を行って把握される時価との間に大きな差を生じており、多額の含み損益が発生している可能性があります。さらに、事業価値を上回る不動産価値が埋もれている可能性、所有権以外の権利に対価が発生している可能性があり、不動産鑑定評価によって判明する場合もあります。したがって、不動産鑑定評価により、最有効使用(対象不動産の効用が最も発揮される最適用途)を前提とした適正な不動産の価値を把握することは、非常に有効になると思われます。また、M&A後の財務戦略や事業計画の策定に当たっても、市場価値(時価)を把握しておく効用は高く、M&A前に不動産鑑定評価を行い、適正な不動産価格を把握することをお勧めいたします。

また、家族に事業承継する場合であっても、後継者が事業承継後も安定的に経営を行うために、自社株式や事業用資産を後継者が集中的に承継させ、後継者でない子の遺留分を侵害しない範囲内で、後継者でない子が、自社株式や事業用資産以外の資産を取得させる相続紛争対策としても、不動産鑑定評価・不動産コンサルティングの活用は非常に有効な手段になります。

不動産コンサルティング

弊社の不動産鑑定評価は、単なる価格や賃料を求めることに留まらず、不動産デューデリ的要素を含んでおり、
不動産の現状把握と問題点を抽出した総合的観点からの情報提供により、不測の損害を回避することができます。
さらに、弊社の不動産コンサルティングにより、
事業用不動産の把握・整理、遊休不動産の把握・整理、M&A後の事業効率策・有効活用提案、売却の提案、
リースバック(賃貸借)の検討 等、その先の戦略を見据えた支援をお約束致します

※M&A・事業承継に関する各種支援については、弊社が提携する各専門家(弁護士、公認会計士、税理士、司法書士等)を紹介させて頂くことも可能です。

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